【2026年1月施行】行政書士法の改正と自動車業界への影響・リスクについて

作成日: 2025年10月24日

202611施工
行政書士法の改正
自動車業界への影響・リスク

自動車販売店や整備工場では、長年にわたり、車両販売時の顧客サービスの一環として、新規登録・名義変更・抹消登録・車庫証明の手続きなど、さまざまな行政手続きのサポートを慣例的に行ってきました。
これらの業務には、車検証やナンバープレートの取得・変更、自動車重量税や自賠責保険の手続きなども含まれます。

今回の行政書士法の改正では、第19条に「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が新たに追加されました。実質的に報酬を得て書類を作成する行為が全て行政書士の業務とされます。

この改正により、これまで「登録代行料」や「事務手数料」「サポート費用」など、さまざまな名目で手続きを含むサービスを提供していた場合でも、その内容が行政書士の業務に関わる部分を含むときは、より慎重な対応が求められるようになりました。

2026年1月1日施工 行政書士法の改正内容について

今の社会の変化に合わせて、行政書士の役割や仕事の範囲をはっきりさせるために5個の改正が行われます。

① 行政書士の使命の明確化

法第1条の「目的」が「行政書士の使命」に改められ、行政書士は、行政手続をスムーズに進め、国民の生活を便利にし、みなさんの権利を守ることが使命であると明記されました。

② 行政書士の職責の明確化

新しい条文で、行政書士は次のように定められました。
これにより、行政書士もデジタル化にしっかり対応していくことが求められます。

  • 常に品位(ひんい)を保ち、公正で誠実に仕事をすること
  • デジタル社会に対応し、ITを活用して国民の便利さや仕事の質を高めるよう努めること

③ 特定行政書士の代理範囲拡大

今まで特定行政書士は、行政書士が作成した書類に関する不服申立て(行政への異議申し立て)しか扱えませんでした。
今回の改正で、行政書士に依頼せず申請者本人が作成し提出した許認可等の申請に関する不服申し立てについても特定行政書士が代理することができるようになります。
これにより、国民がより簡単に不服申立ての手続を進められるようになります。

④「書類作成業務」は行政書士の独占業務に

報酬を得て作成する官公署向けの書類について、行政書士以外の者が有償で作成することが明確に禁止されました。今回の改正で、「会費」など、いかなる名目でお金を受け取っても「報酬」とみなす、という点が明確になりました。

実質的に報酬を得て書類を作成する行為が全て行政書士の業務とされます。
今回「いかなる名目を問わず」という文言が追加されることで、代行費のみ請求し手続きの一環で無料で書類作成をしているのであっても、行政書士法違反となるリスクがあります。

⑤ 両罰規定の整備

行政書士でない人や行政書士法人が法律に違反した場合、
違反した人本人だけでなく、その法人(会社)にも罰金が科されるようになりました。

まとめ

今回の改正では、行政書士の使命や職責の明確化、書類作成業務の独占化、特定行政書士の代理範囲拡大、両罰規定の整備などが行われました。自動車販売店や整備工場では、従来慣例的に行っていた書類作成や手続きサポートについても、行政書士法に抵触しないよう運用体制の見直しが必要です。

今後は、書類作成や申請に関わる範囲を明確に区分し、行政書士との連携や委託など、法令に沿った運用体制を整備していくことが重要になります。

参考サイト

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