
2025年6月30日から、新たに「訪問特定整備制度」が施行されました。
これは、一定の条件を満たした整備工場が、顧客の元へ出向いて特定整備を行えるようにする制度です。
制度により期待されていること
この制度を活用すれば、たとえば自宅でエンジンがかから無くなった時に整備士が現地に出張して修理を行うことが可能になります。
離島や山間部など交通の不便な場所や、発電所など大型施設内にメカニックを派遣して整備作業を実施するなども想定されています。
また、人手不足のために自社の整備工場を維持できなくなった運送事業者等に、認証工場から整備士を派遣して整備を行うことが可能となり、業種の垣根を越えて生産性が向上することが期待されます。
訪問特定整備を実施できる者
特定整備制度の認証を受けた事業者のみが訪問特定整備を実施できます。
整備士資格を持たない無資格者が作業を行うことは制度上認められていません。
訪問可能な範囲
同一の都道府県内または自動車でおおむね1時間以内の場所。
訪問特定整備の種類
訪問特定整備
特定整備事業の認証を受けた整備工場が、認証と同等の整備環境を用意した顧客先などで整備を実施できる。全ての作業が可能。
実施場所の例:運送会社の整備作業場など
限定訪問特定整備
認証工場の要件を満たさず、整備環境に一部制約はあるものの、ブレーキやスターターモーターなど、比較的軽微な作業を現場で行える。
実施場所の例:ユーザーの自宅駐車場など
特定整備の作業範囲は、2025年7月現在以下に限られます。
作業範囲
- ブレーキパッドの交換
- 発電機交換
- スターターモーターの交換
- 大特車のステアリングホースの交換
主なルール
- 依頼者への説明、訪問する整備士への指示などは、派遣元の認証工場の整備主任者が行う
- 料金の内訳(整備費、旅費等)を示すこと
- 訪問する整備士のリストをメールで運輸支局へ届出
届出方法について・Q&A
届出様式、用紙記載例、届け出窓口については以下サイトをご確認ください。また、Q&Aも同じページからアクセスが可能です。
訪問特定整備に関する行政処分
訪問特定整備等にかかる違反があった場合は、通常の特定整備よりも重い処分を受け、高い点数になる違反も多くなっています。また、訪問特定整備によって事業停止となった場合は、特定整備全体の停止に加え、さらに追加の停止処分を受けます。
処分点数の例
違反内容 | 通常の特定整備 | 訪問特定整備 |
---|---|---|
料金表を掲示・掲載せず、または内容が不適切 | 5点 | 10点(点数2倍) |
作業場の要件を満たさない場所で実施 | ― | 15点(=10日の事業停止) |

(参考) 事業停止の日数
違反点数合計 | 停止日数 |
---|---|
10~19 | 10日間 |
20~29 | 15日間 |
30~39 | 20日間 |
40~49 | 25日間 |
違反点数表(一部抜粋)
出典:国土交通省 訪問特定整備に対する処分基準( https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001896891.pdf )
参考サイト
- 国土交通省 「訪問特定整備制度について」 — https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr9_000033.html
