2026年9月策定
車体整備工場は必見!
適正取引計画のポイント
ディーラーから板金・塗装を請け負っている工場の皆さま、車両の引取・納車や代車の貸し出しを「サービス」で引き受けていませんか?
日本自動車販売協会連合会(自販連)が策定した自主行動計画で、こうした作業の費用負担や、修理代金の支払い・価格交渉のルールがはっきり示されました。見積書や発注書を見直すきっかけとして、ポイントを整理します。
概要:ディーラーとの取引で変わる4つのこと
自販連は2026年9月11日、「適正取引の推進に向けた自主行動計画」を策定しました。会員ディーラーが車体整備工場に修理を頼むときのルールを、取適法(旧・下請法。2026年1月に改正・改称)などに沿ってまとめたものです。車体整備工場にとって大きいのは次の4点です。
1. 運送・部品の廃棄・代車を「無償で」求めない
車両・部品の運送や不要部品の廃棄を、工場にタダでさせないことが明記されました。代車はディーラーが自ら手配し、工場に出させる場合は費用を全額ディーラーが負担します。
2. 修理代金は60日以内に支払う
車両を受け取った日から60日以内に支払います。保険会社との交渉が長引いても、それを理由に支払いを遅らせないとしています。
3. 保険査定で金額が下がっても、一方的に決めない
損保との協議でレバーレート(1時間あたりの基本工賃)が下がるなど見積額が変わった場合も、ディーラーは工場と十分に協議して代金を決めます。一律に自社の利益分の率を差し引いた額を代金にすることはしないとしています。
4. 年1回以上、価格を話し合う場を設ける
工場から値上げの相談があれば協議に応じ、毎年9月・3月の「価格交渉促進月間」などを機会に、少なくとも年1回は協議の場を設けるよう努めるとしています。
スケジュール
- 2025年12月22日:公正取引委員会・中小企業庁が、ディーラーと車体整備工場の取引についての集中調査の結果を公表
- 2026年1月1日:下請法が改正され「取適法」に(60日以内の支払い・発注書の交付・無償での作業要求の禁止などは、この法律で義務)
- 2026年2月24日:中小企業庁・公正取引委員会が自販連に、違反の防止を会員に徹底するよう要請
- 2026年9月11日:自販連が「適正取引の推進に向けた自主行動計画」を策定
- 毎年9月・3月:価格交渉促進月間。計画では、この機会などに年1回以上の協議の場を設けるよう努めるとしている
「策定」は、自販連がこの計画を正式に決めたという意味です。計画は法律ではなく、会員ディーラーが取り組む内容をまとめた自主的なルールです。ただし上の表のとおり、支払期日や発注書、無償での作業要求の禁止はすでに取適法で義務になっており、無償の運送・廃棄・代車については計画でも「速やかに是正する」とされています。
背景
集中調査や勧告が相次いだことに加え、人件費や原材料費が上がる中で、車体整備工場が増えたコストをきちんと価格に反映できるようにすることも、計画の大きな目的です。
現場対応のポイント
まずは今の見積書・発注書・取引条件を手元に用意して、次の点を確認しましょう。
- 発注書をもらっているか:ディーラーには発注内容を書面かメールで示す義務があります。発注時に金額が決まらない場合は「レバーレート×作業時間」などの計算方法を書くことになっています
- 無償でやっている作業はないか:引取・納車、不要部品の廃棄、代車の貸し出しなどを洗い出す
- 運送費の書き方:「運送代」とひとまとめにせず、燃料費・道路通行料など実費の内訳を示す。固定額にしている場合も燃料価格に合わせて見直す
- 値上げの相談の準備:9月は価格交渉促進月間です。最低賃金や春闘の妥結額の上昇率など、公表されている数字を根拠として用意する
- 再修理の費用負担:部品の発注ミスや修理後の不具合で再修理になったときの負担を、事前に取り決めておく
- 記録を残す:協議の内容と決まった条件を書面等で残す
運送は、整備と一体で実費の範囲に収まるものなら許可は不要ですが、利益を含む有償運送には貨物自動車運送事業法の許可(緑ナンバー等)が必要です。判断に迷う場合は、地方運輸局などへの事前相談が勧められています。
なお、外部の板金工場へ修理を出している車両販売店は、口頭での発注や、慣例で相手に負担させている費用が残っていないかを確認しておきましょう。
参考サイト
- 日本自動車販売協会連合会|適正取引の推進に向けた自主行動計画について(2026年9月)
- 日本自動車販売協会連合会|適正取引の推進に向けた自主行動計画 本文PDF(2026年9月11日策定)
- 経済産業省・中小企業庁|一般社団法人日本自動車販売協会連合会に対して取引適正化に向けた要請を行いました(2026年2月24日)
